清水義也独立二十周年記念能解説

能「花月(かげつ)」その3

③花月の登場

門前の者は幕に向かって
「花月さん!いつもの時間ですよ!人が集まってますから、いらして下さい!」
と声を掛けます。

弓矢を持った花月が登場します。

彼は聴衆に向かっていいます。

「皆さん、こんにちは!
私の名前は『かげつ』といいます。
ある時、『かげつ』どんな漢字を書くのですか?と尋ねられたので、答えました。
『げつ』は『月』。月はいつでも空にありますよね! 
さて、、、『か』はどうでしょう?
春には『花』、夏には『瓜』、秋には『果』、冬は『火』、、
こんな字を当てましょうか。
因果の『果』というのは、最後まで取っておきましょう。
はい!改めまして、私は『かげつ』です。皆さん、よろしくお願いします。」

聴衆は拍手喝采しました。

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このような場面です。

たくさんの聴衆もいなければ、満開の桜も、清水寺の建物も舞台には出しません。

この解説、とても大切になりますよ!

、、、、、、、

門前の者が近寄ってきて言います。
「今日はなぜ遅れてきたのあですか?」

花月
「ついさっきまで雲居寺にいたのですが、花があまりにも美しかったのでつい時が過ぎてしまいました。あなたのことを思い出して、急いでやってきました。」

門前の者
「では早速、いつもの『恋の小歌』をご披露しましょう!」

④恋の小歌

門前の者は、花月の横に行き、扇で顔を隠します。門前の者が恋人役をやります。花月は彼の肩に手を掛けます。
現代と同じく、恋人の肩に手を廻す、、ということになります。

小歌
「来し方より、今の世までも絶えせぬものは、恋といえる曲者(くせもの)、げに恋は曲者、曲者かな、、、身はさらさら、さらさら更に、恋こそ、寝られね」

昔から今に至るまで、人が「恋」をするのは当然のこと。でも、出家は異性を意識してはいけないんですよ。でも、、、ね。本当に恋は困ります。サラッと受け流したいんですけど、恋しい人が目に浮かんで、寝られなくなってしまいます。」

2人で舞台を小さく巡ります。