融 クツロギ

8月24日、喜多能楽堂で開催されます「ひとつのはな」では、金春流の山井綱雄氏による能「融」を特殊演出の「クツロギ」で上演します。

クツロギ(漢字で書くと「窕」)

この演出では、融大臣の幽霊が囃子の演奏で舞っている途中で、正方形の舞台(本舞台)から橋掛かりへと行きます。

ここで少しの間、立ち尽くす時間があり、再び本舞台に戻ります。

この「クツロギ」の意味は?

お客様に想像の中で楽しんで頂く時間なんです。

能舞台は背景が変わったりしません。いつも松の絵が。

では、融大臣の幽霊は松の絵の前で舞っているのでしょうか?

違います。

月明かり、星空の下で舞っているのです。

融大臣の幽霊が「クツロギ」で橋掛かりに行った後の本舞台には何が残る?

それは、、、満天の星空!

お客様にその星空を想像して頂く時間が「クツロギ」

いや、融大臣の幽霊自身も星空をのんびりと眺める時間なのです。

ですから、お客様は橋掛かりに行く融大臣の幽霊を追うのではなく、本舞台に輝く星空を想像する。

いわば、プラネタリウム!

これが「クツロギ」の演出意図です。

「クツロギ」の演出がある能は他には「須磨源氏」「海士(海人)」「邯鄲」などがあります。

「須磨源氏」では「融」と同様の見方

「邯鄲」は「タイやヒラメの舞い踊り」のイメージ。

「海士」では仏の世界を感じる

つまり視点を変える演出です。

能は本当に完璧につくられています。少しでも能を知って頂きたいと思います。

鎌倉での月明かり!