能楽堂へようこそ
能をご覧になられる方からよく質問されるのが、「拍手」について、、です。
いつしたらいいの?、、と。
能をご覧になることを、何かに置き換えて、比較してみるといいと思います。
歌舞伎、ミュージカル、野球、相撲、、、
これらではありません。
「神社で正式参拝をする」
です。
能の舞台と神社、どちらも前面を覆う幕(緞帳など)はありません。舞台、社殿には四本の柱があり、舞台の前には白洲(結界)があります。
能舞台の奥には松の絵があり、神社には丸い鏡があります。どちらも神の「寄り代」(よりしろ、神様が降臨される為の目印)です。
神社で参拝者が座る席を、客席とは言わない。能楽堂でも「見所(けんしょ)」といいます。
まさに、神社と同じ構造、同じ感覚です。
では、神社では、柏手こそ打ちますが、拍手はしますか?
「今日の祝詞は素晴らしかった〜!」といって、拍手する人はいません。
お寺も同じですよね。
西洋に置き換えれば、「讃美歌」とか「聖なる劇(ページェント)」に近い。
讃美歌が上手くて拍手する、なんてあり得ないのです。
能も西洋でいう「聖なる劇」なんです。
神・仏の「心」を、能という手法を用いて伝える芸能。
だから、、、
拍手は不要。
いや、拍手するのはおかしい!
と、私は「思います」。
、、、、、、、
狂言は、神仏ではなく、人間の在り方なので、拍手だろうが何だろうが、ご自由にどうぞ、、、
「対価を払って観る芸能」つまり貨幣価値に置き換えてしまうから、拍手も評論もしたくなるわけですね。
心で感じる
これが能の見方であり、ご一緒にいらしたお友達と、感動の共有が出来ない場合も多々あることは知って頂きたいです。
能楽堂に入られる前に、目を閉じて、心をリセットしてみて下さい。
何日も神前、仏前に座ってお告げを待ち続けた古来の日本人のあるべき姿が垣間見えるかもしれませんよ。