独立二十周年記念能詳細 その4
「能」という芸術は、謡、舞、囃子、面・装束の総合芸術と書きました。
これらの中で圧倒的に重要性が高いのが「謡(うたい)」になります。
昭和までは謡を専門にする能楽師が多くいらっしゃり、私の曽祖父も祖父も能は舞わずに謡の専門家でした。
その謡のみをなさる方の最高の秘曲とされるのが、この「近江八景」などの「乱曲(らんぎょく)」です。
元は能として上演するべく作られた演目が何らかの事情で上演出来なくなったものの、文章の美しさなどの要因で、一部分の謡だけが残されて、秘曲として上演されるのがこの「乱曲」になります。
現在では「乱曲」と書きますが、本来は「闌曲(らんぎょく)」。超絶技巧の謡、、という意味になります。
今回は観世会の長老の武田志房氏に「近江八景」をお願いしました。
視覚的要素を無くし、謡だけをお一人で謡って頂く「独吟(どくぎん)」という形態です。