独立二十周年記念能詳細 その2

息子の義久に能「花月(かげつ)」を勤めさせます。

師匠はじめ、数多くの方の子方(子役)を勤めさせて頂きました義久も14歳、中学2年生。

身長は170cmになりました。まだ声変わりの最中で、今風のヒョロっとした体格です。

10歳で初シテ(初めての主役)能「猩々」をさせて以来、「岩船」「石橋(赤獅子)」「菊慈童」「土蜘蛛」をさせました。今回は子供にとっては難曲の「花月」です。

今回の公演で1番の眼目となりますのが、狂言方の野村万作先生に「花月」の間狂言をお願いさせて頂いたことです。

東京芸術大学在学中には、専門以外で1つを教わることが出来る「副科」という制度があります。ピアノやバイオリンを習ってもいいし、長唄や箏曲などでも構いません。 

私は狂言を野村万作先生に教えて頂きました。

つまり、万作先生は私の師匠であられる、、ということで、ダメ元でお願いしてみましたところ、お引き受け頂きました。

義久とは80歳差の共演。

義久にとっては、この上ない思い出になることと思います。

囃子方には、10代の小鼓方・大倉伶士郎さん(大倉源次郎氏ご子息)、笛方・一噌隆晴さん(一噌隆之氏ご子息)にお願いしました。

義久が何十年とご一緒させて頂くことになる方々です。

その若いお二人を、大鼓方の亀井広忠氏に統率して頂きます。

父子の再会劇である「花月」ですので、ワキの父親役を私がやりたいところですが、それは出来ませんので、私と同い年の御厨誠吾氏にお願いしました。

後見は、近い将来に義久が師事させて頂きます観世三郎太氏にお願いしました。

初シテの「猩々」の地頭(地謡のリーダー)をお願いして以来、毎回地頭をお勤め頂き、前回の「土蜘蛛」では源頼光役をお勤め頂きました。

今回は舞台監督として、後見をお勤め頂きます。

そして、能を創り上げるのに1番大切な地謡を、大大先輩の岡久広氏、関根知孝氏ほかの皆様にお願い申し上げました。

義久自身はまだ何もわからずに稽古したままをお見せするだけです。

私は、皆々様へのこれまでの感謝の心。そして、義久をこれから育てて頂くことへのお願いを籠めて、この会を企画しています。

私の想いが詰まったこの公演をお一人でも多くの方に見届けて頂きたいと思います。

よろしくお願い申し上げます。