独立二十周年記念能詳細 その7
いよいよ、最後の演目、能「道成寺」です。
若手の登竜門と呼ばれるこの「道成寺」。
私は平成22年10月の「観世会秋の別会」で勤めさせて頂きました。
今回は『赤頭(あかがしら)』の演出で勤めさせて頂きます。
能「道成寺」の眼目は2点。
・乱拍子
・鐘入り
です。
特に鐘入りは、落ちてくる鐘の中に飛び込む、、というもので、観世流の場合は、鐘の真下に入り、7つの足拍子を踏んでから飛び上がります。
飛び上がると同時に、鐘後見が鐘を落とすわけです。
通常の演出では、上に着ている唐織を脱いで、面を取り替えます。
今回の『赤頭』の演出では、以下のように変わります。
・面を変える
・鬘を赤頭に変える
・上着を脱ぐ
・腰巻を変える
狭い鐘の中は、身重175センチの私には、とても窮屈な空間です。
その中で着替えるのはとても難しいわけですが、とにかく決められた手順通りにやることが大切なわけです。
、、、、、、、
順番が前後しますが、今回の「道成寺」では、小鼓を飯田清一氏にお願い申し上げました。
眼目である『乱拍子』は、シテと小鼓の一騎打ちになります。
シテ方の流儀によって所作が違うことはご理解頂けると思いますが、小鼓方の流儀によって、シテの動きも変わるのです。
小鼓方は観世流、大倉流、幸流、幸清流の4流があります。
私の初演の時の小鼓は、大倉流の鵜澤洋太郎氏でした。
今回の飯田清一氏は幸流。
どなたにでもわかるのが、乱拍子の最中の小鼓の「掛け声が短い」のが幸流の特徴です。